商用車としても使われるバンは、荷物をたくさん積んで走行するため、自ずとタイヤに負担をかけてしまいます。
また、1年を通して乗り続けていると、雨や雪の日などの悪条件で運転しなければいけないことも出てきます。
そう考えると、バン用のタイヤはできるだけ信頼できるタイヤを選びたいところです。
そこでおすすめのタイヤがオールシーズンタイヤ。
オールシーズンタイヤは、天候や気候に関係なく1年を通して使えるタイヤです。
オールシーズンタイヤはほかのタイヤと比べて種類が少なく、選べるタイヤが限られてきますが、近年は相次いで新商品が市場に投入されている注目のタイヤでもあります。
ただし、オールシーズンタイヤはメリットもあればデメリットも存在しますので、あらかじめ特徴を把握しておく必要があります。
そこで今回は、バンにおすすめのオールシーズンタイヤや選び方について詳しくご紹介していきます。ぜひタイヤ選びの参考にお役立てください。
代表的な車種
ハイエース、キャラバン
タウンエース、NV200バネット
プロボックス、サクシード、AD
ピクシス、NV100クリッパー、ハイゼット
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もくじ
オールシーズンタイヤとは
そもそもオールシーズンタイヤはどのようなタイヤなのでしょうか。
オールシーズンタイヤを一言で説明すると、季節や気候を問わず1年中使えるタイヤとなります。
夏用タイヤとして使用できるのはもちろん、ウェットコンディションや雪が降り積もった路面でもそのまま走行することができます。
多くの車は通常夏用タイヤを履き、冬になるとスタッドレスタイヤに履き替えたり、タイヤチェーンを装着したりして、雪や凍結に備えます。
しかしその場合、タイヤチェーンやスタッドレスタイヤなどを購入する費用がかかりますし、装着や交換に時間も労力もかかります。
オールシーズンタイヤを装着しておけば、突然雪が降ってきても慌ててスタッドレスタイヤに履き替える必要はありません。
※ただし、積雪が多い地域や、凍結した路面を走行する場合は、氷上・雪上性能に特化したスタッドレスタイヤへの履き替えや、タイヤチェーンの装着が必要です。
オールシーズンタイヤの特徴
オールシーズンタイヤは、寒冷地でも柔軟性を保てる特殊なゴムを使用し、かつ排水性を確保できるようにトレッド面には多くの溝が設けられています。
ほとんどのオールシーズンタイヤにはサイドウォールに「スノーフレークマーク」が付けられています。
このマークがあるタイヤは、高速道路で冬用タイヤ規制が実施されていても、そのまま走行することができます。
ただし、降雪量が多く「全車両チェーン装着規制」が実施されたら、オールシーズンタイヤでもタイヤチェーンをしなければいけません。
また、「スノーフレークマーク」以外にも、「M+S」マークと呼ばれるものもあります。
このマークは「マッド・アンド・スノー」と呼ばれており、ラジアルタイヤのタイヤパターンを雪道でも走れるようにアレンジされたという意味を持ちます。
しかし、この「M+S」マークだけのタイヤでは冬用タイヤ規制が実施されている道路の通行はできません。
スタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤの違い
スタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤの違いを一言で表すと、
- オールシーズンタイヤ・・・あらゆる路面での走行を想定して作られたタイヤ
- スタッドレスタイヤ・・・雪道や凍結路でのグリップを追求して作られたタイヤ
となります。
オールシーズンタイヤは基本的に夏タイヤのようにドライ・ウエット路面での走行を前提に作られており、冬タイヤとしての性能は、あくまで突然の降雪時に対応できるレベル。文字通りオールラウンドなタイヤだと言えるでしょう。
一方スタッドレスタイヤは、雪道や凍結路という特殊な条件でのグリップを追求して作られているため、冬タイヤとしては文句無しの性能を持ちます。
ただし構造上ゴム質が柔らかいため、オールシーズンタイヤと比べると摩耗が早く、ドライ・ウエット路面での性能は劣ります。
参考までに、各タイヤの性能比較表も掲載しておきます。
スタッドレスタイヤ | オールシーズンタイヤ | サマータイヤ | |
---|---|---|---|
乾いた路面 | △ | ○ | ◎ |
濡れた路面 | △ | ○ | ◎ |
浅い雪 | ◎ | ○ | ✕ |
圧雪 | ◎ | ○ | ✕ |
シャーベット状の雪 | ◎ | ○ | ✕ |
凍結路 | ◎ | ✕ | ✕ |
冬用タイヤ規制 | 通行可 | 通行可(商品によります) | チェーン装着必須 |
以上のことから、
- 滅多に雪が降らない地域(非降雪地域)にお住まいの方・・・オールシーズンタイヤ
- 積雪が多い地域にお住まいの方・・・スタッドレスタイヤ
の装着がおすすめだと言えるでしょう。
オールシーズンタイヤのメリット・デメリット
オールシーズンタイヤのメリット・デメリットをそれぞれ見てみましょう。
- どのような気候や天気でも走れる
- タイヤの交換が必要なくなる
- 使用しないタイヤを保管する場所も不要
- 突然の雪でもそのまま走れる
- 突出した性能がない
- 凍結路面の走行はできない
先ほどの比較表からもわかるように、オールシーズンタイヤは夏タイヤのような強力グリップ力やコンフォート性能はなく、スタッドレスタイヤのような氷上・雪上性能もありません。
そう考えると、オールシーズンタイヤは中途半端な位置付けのようにも思えてくるかもしれません。
しかし、降雪が少ない地域にお住まいの方がオールシーズンタイヤを装着すれば、タイヤ交換の必要がなくなるため、交換時間や費用、置き場所の問題が一気に解決できます。
また、最近のオールシーズンタイヤはドライ路面での性能がかなり改善されてきています。
特にバン用のオールシーズンタイヤは長距離の走行にも耐えられるように耐久性やロングライフ性能を強化している傾向があり、非常に使いやすくなっています。
オールシーズンタイヤの寿命
オールシーズンタイヤの寿命は夏タイヤと同様に3〜5万kmもしくは3〜5年となります。
また、オールシーズンタイヤには、雪道での使用限界を表す「プラットフォーム」とタイヤ自体の使用限界を表す「スリップサイン」の両方があります。
通常通り夏タイヤとして使用するのであれば「スリップサイン」を目安に寿命を判断することができます。
ただし、実際にタイヤ表面にひび割れや偏摩耗などがある場合は早めの交換が必要です。
バン・商用車用タイヤに求められる性能
ここまでオールシーズンタイヤの特徴をご紹介しましたが、そもそもバン用のタイヤにはどのような性能が求められるのでしょうか。
バン用のタイヤには具体的に次のような性能が求められます。
- 重い車体でもしっかり支えて走れる「剛性」
- 長距離を運転しても疲れにくい「快適性」
スタッドレスタイヤは使っている素材や構造上の特徴から剛性自体が低くなりがちです。
荷物をたくさん積んだバンがスタッドレスタイヤを装着すると、悪路走行中やコーナリング中に車体が大きくふらつくことがあります。
また、車重が重いと摩擦力も増すため、乾いた路面を走行すると、大きく摩耗が進みます。
ほかにも、バンは荷物を乗せることを前提としていますので、乗用車と比べるとサスペンションの作りが単純で、段差を乗り越えた際のショックが大きく、乗り心地が悪くなりがちです。
これらの短所を少しでも補うためには、タイヤの力を頼ることになります。
バン・商用車用のタイヤには、車体を支えてくれる剛性を持ちつつ、ショックを吸収してくれる柔軟性や快適性、さらには長距離の走行にも耐えられるライフ性能も求められます。
夏タイヤだと突然の雪には対応できない。スタッドレスタイヤだとふらつきやライフ性能に問題が出てくる。
そう考えると、どちらの性能も持ち合わせているオールシーズンタイヤは、バンとの相性が抜群ではないでしょうか。
VAN用おすすめオールシーズンタイヤ
当店がおすすめするバン用おすすめオールシーズンタイヤは次の6種類となります。
- 【ヨコハマタイヤ】BluEarth-Van All Season RY61(ブルーアース バン オールシーズン)
- 【ダンロップ】ALL SEASON MAXX VA1(オールシーズンマックスVA1)
- 【ミシュラン】AGILIS CROSSCLIMATE(アジリス クロスクライメート)
- 【グッドイヤー】 VECTER 4 SEASONS CARGO(ベクター フォーシーズンズ カーゴ)
- 【トーヨータイヤ】CELSIUS CARGO(セルシアス・カーゴ)
- 【ネクセン】N blue 4Season Van(エヌブルー フォーシーズン バン)
こちらはバン用タイヤに求められる性能を考慮して専用に開発されたタイヤです。
順番に詳しく見ていきましょう。
※今回ご紹介するタイヤは、全て「スノーフレークマーク」が付けられている製品です。
【ヨコハマタイヤ】BluEarth-Van All Season RY61(ブルーアース バン オールシーズン)
ヨコハマタイヤから新しく発売されたバン用オールシーズンタイヤで、耐久性・耐摩耗性に優れた特徴を持ちます。
中央に入れられたジグザグ模様の深い縦溝は、雪上路面においてエッジ効果を発揮するように設計されており、その両サイドにある2本のストレート形状は横方向のラグ溝と交差することで雪柱せん断力(溝に雪が食い込んで柱状に固められ、その柱を切断することで得られるグリップ)を発揮します。
また、センター部だけでなくショルダー部のブロック剛性も高められているため、コーナリング中の安定感も高めです。
さらに、サイドウォールにはひび割れを防ぐ「アンチクラック セレーション」が採用されており、劣化に対しての対策もしっかり施されていることがわかります。
荷物を積みながら長距離を走るバンに特化した最新モデルで、選んでおけばまず間違いのないタイヤですね。
発売日 | 2022年11月 |
タイヤサイズ | ・195/80R15 107/105 ・155/80R14 88/86 ・145/80R12 80/78 |
特徴 | ・優れた耐久性、耐摩耗性 |
【ダンロップ】ALL SEASON MAXX VA1(オールシーズンマックスVA1)
ダンロップから2021年3月に発売されたオールシーズンマックスVA1は、ドライ性能やロングライフ性能が優れているタイヤです。
センター部分には幅広のブロック、ショルダー部には剛性の高いブロックを配置することで、空車時・積載時問わず地面をしっかり捉えます。
このおかげで、操縦安定性は夏タイヤの「エナセーブ VAN01」と同等の性能を持ちます。
また、太い2本の縦溝は夏タイヤ以上の溝容量があり、高い排水性を実現。ハイドロプレーニング性能は夏タイヤを上回っており、雨の日でも安定した走行ができます。
もちろん雪上能力も考慮された設計となっています。
トレッドセンター部の溝は雪柱せん断力が向上する設計となっており、雪道でも安心して走行できます。
夏タイヤのように走れるタイヤですので、普段からバンを運転する人に最適です。
発売日 | 2021年3月 |
タイヤサイズ | ・195/80R15 107/105N ・155/80R14 88/86N ・145/80R12 80/78N |
特徴 | ・夏タイヤ以上の操縦安定性やロングライフ性能 |
【ミシュラン】AGILIS CROSSCLIMATE(アジリス クロスクライメート)
ミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート」シリーズに追加されたモデルです。
夏タイヤのように優れた性能を持つ「クロクライメート」シリーズの持ち味であるウエット路面でのブレーキ性能はそのまま引き継ぎ、そこに「長く続く安全」を目指した性能が追加されています。
サイドウォールには「サイドウォールプロテクター」や「耐アブレージョンラバー」が採用されており、走行中の縁石の擦れにも強くなっています。
また、スノーブレーキ性能は従来のバン・ライトトラック用タイヤ「アジリス3」と比べ約31%向上。
タイヤ自体の耐摩耗性能が高められているのはもちろんですが、トレッドの摩耗状況がひと目で確認できる「トレッドウェア インジケーター」が設けられているため、交換タイミングがすぐに把握できます。
V字デザインのトレッドが採用されているため、見た目も格好良いタイヤです。
発売日 | 2022年9月 |
タイヤサイズ | ・215/60R17 109/107 ・215/65R16 109/107 ・205/75R16 113/111 ・195/80R15 107/105 |
特徴 | ・優れたウエット性能 |
【グッドイヤー】 VECTER 4 SEASONS CARGO(ベクター フォーシーズンズ カーゴ)
ドライ・ウェット、雪上路面でバランスよくグリップするタイヤです。
サイプ内部に半球体状の凹凸を配置し、ブロックの倒れこみを防止する「3D ブレイドサイプシステム テクノロジー」も採用。ブロック剛性が非常に高くなっており、偏摩耗の抑制に大きく貢献しています。
また、トレッド部は接地面を最大化する形状をしており、偏摩耗を抑制しながらも雪上では安定したグリップが得られるようになっています。
ほかにも、トレッド部とカーカスの間の低発熱ゴムによって転がり抵抗が抑えられ、低燃費性能も高められています。
バランスが優れていますので、降雪が多い地域の人にもおすすめです。
発売日 | 2021年8月 |
タイヤサイズ | ・195/80R15 107/105 ・155/80R14 88/86 ・165/80R13 90/88 ・145/80R12 80/78 |
特徴 | ・安定した雪上性能・低燃費性能も高い |
【トーヨータイヤ】CELSIUS CARGO(セルシアス・カーゴ)
トーヨータイヤから発売されているオールシーズンタイヤ「セルシアス」をビジネスバン向けにアレンジしたモデルです。
ドライ・ウエット路面での走行性能はもちろん、スノー性能も考慮されて開発された左右非対称パターンとなっているのが特徴です。
イン側は排雪性能やスノートラクションを向上させた「ジグザグブロック」や「スラッシュグルーブ」を採用。アウト側はドライ・ウエット路面を重視した構造となっているため、バン用タイヤに求められる直進安定性や耐摩耗性能もしっかり確保しています。
また、ドライ路面での転がり抵抗も少ないため、燃費性能が高いのもポイントです。
さらに、サイドウォールには外傷からの保護を目的とする「バットレスデザイン」が採用されています。
サイズ展開は195/80R15 107/105の1種類のみですが、これはハイエースやNV350キャラバンなどの商用車に対応したサイズとなっています。
大型の商用車に乗っている方は選択肢として候補に入れてみてはいかがでしょう。
発売日 | 2021年10月 |
タイヤサイズ | ・195/80R15 107/105 |
特徴 | ・安定したウェット性能・優れた低燃費性能 |
【ネクセン】N blue 4Season Van(エヌブルー フォーシーズン バン)
韓国のグローバルタイヤメーカー「ネクセン」から発売されているタイヤです。
乗用車用のオールシーズンタイヤ「N blue 4Season」の基本性能はそのままに、商用車に求められるロングライフ性能が加えられました。
トレッド表面に設けられた細かい溝は、排水効率の向上に貢献しており、雨天でも問題なく走行可能です。
また、ジグザグのショルダーデザインはハンドリング性能にも貢献しており、長期間の運転も苦になりません。
雪上性能向上のためにウィンターサイプも設けられていますので、雪道も安全に走行できます。
ドライ路面での快適性や、ロングライフ性能を求める人におすすめのタイヤです。
発売日 | 2020年10月 |
タイヤサイズ | ・215/65R16 109/107 ・195/80R15 107/105 |
特徴 | ・優れたライフ性能・長時間のドライブも快適 |
まとめ
まだまだ日本での装着率は少ないものの、今後さらに高性能な製品が発売されることが期待できるオールシーズンタイヤ。
地域によっては季節を問わず1年中使えるタイヤですので、スタッドレスタイヤに交換する手間がかかりませんし、使わないタイヤを保管しておかなくても良いというメリットがあります。
しかし、積雪が多い地域になるとオールシーズンタイヤでは安心して進めないこともあります。
積雪が多い地域や路面が凍結する地域ではタイヤチェーンやスタッドレスタイヤを装着する方が良いでしょう。
例えば、走行途中に雪が降ってきた場合、オールシーズンタイヤを装着していればそのまま走行して家まで帰れますが、その雪が翌日まで残り、夜間のうちに凍ってしまうと、やはりオールシーズンタイヤでの走行ではリスクが伴います。
また、商用車として使われることが多いバンは、荷物を確実に目的地に運ばなければいけませんので、凍結した路面に対して安定したグリップを得られるタイヤチェーンの装着も少なくありません。
そう考えると、本格的な積雪や凍結がある地域にお住まいの方は、迷わずスタッドレスタイヤやタイヤチェーンを選択し、それ以外の地域にお住まいの人であれば、突然の雪に備える意味合いでオールシーズンタイヤを選択するなどの使い分けをしていただければと思います。
もしタイヤ選びについてお悩みであれば、当店にぜひご相談ください。
お客様のお車に最適なタイヤをご一緒に考えさせていただきます。
また、今回ご紹介したバン用オールシーズンタイヤ以外にも、さまざまなタイヤを取り扱っております。
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