タイヤは消耗品ですので、使っていればどんどん擦り減ります。
本来タイヤはスリップサインを目安に、交換タイミングが見極められるようになっています。
しかし路面状況や車体の状態、運転の仕方によっては均一に摩耗が進まないことがあります。
これを放っておくと、タイヤの寿命が短くなったり走行に悪影響を与えたりと、様々な不具合が生じてしまいます。
そこで本記事では、タイヤの偏摩耗の種類や対策について詳しくご紹介していきます。
ご自身の愛車のタイヤ点検にぜひお役立てください。
もくじ
タイヤの偏摩耗とは?
タイヤは路面との摩擦によって地面を掴み、車体を前に進めたり止めたりしています。
それ以外にも、車体を支えたり、ショックを吸収したりと、様々な役割も担っています。
基本的にタイヤはゴムでできており、路面との摩擦によってグリップ力を発生させているため、走れば走るほど表面のゴム(トレッド)は摩耗していきます。
そして一定の基準を超えると、そのタイヤが本来持つ性能が発揮できなくなります。
ちなみにタイヤの性能が保てる最低限のラインは1.6mm(スリップサイン)と定められており、これよりも少ないと事故のリスクが高まるため、装着自体が認められていません。
ちなみに新品タイヤの溝は平均8mm程度で、タイヤの表面は約5,000km走行で1mm摩耗すると言われています。
摩耗の進行状況はタイヤの空気圧や表面のゴムの硬さや質、使用状態などによって変わりますが、基本的にはトレッドが均一に減っていきます。
しかし、何らかの原因によってトレッドが部分的に減ってしまうことがあります。
この異常摩耗の状態を「偏摩耗」と呼びます。
タイヤの偏摩耗を放っておくと
偏摩耗を放っておくと、次のような不具合が生じます。
- タイヤの寿命が短くなる
- 車の足回りや走行性能に悪影響を及ぼす
- 車検に通すことができなくなる
偏摩耗の状態で走行を続けると、一部だけ摩耗が進むため、タイヤの寿命が一気に短くなります。
そうなるとハンドルが取られたり振動したりと、様々な不具合が生じてしまいます。
また、偏摩耗を放ったまま走行を続けると、一部だけタイヤ内部が露出したりセパレーションを起こしたりして、最終的にはバーストが起こる危険もあります。
タイヤの残り溝に関しては、国土交通省の保安基準にも明確に定められています。
タイヤの接地部の全幅にわたり滑り止めのために施されている凹部のいずれの部分においても1.6mm以上の深さを有すること
国土交通省:道路運送車両の保安基準の 細目を定める告示167条4より抜粋
そのため、偏摩耗が進んだ状態だと、どこかで残り溝が1.6mmを下回っていた時点で車検に通すことができなくなります。
代表的なタイヤの偏摩耗の種類と対策方法
タイヤの偏摩耗は部位や状態によって様々な種類に分けられます。
代表的な偏摩耗は、次の通りとなります。
- センター摩耗
- 両肩摩耗
- 肩落ち摩耗
- スポット摩耗
- ヒール&トゥ摩耗
- 多角形摩耗
- フェザーエッジ摩耗
それぞれの発生原因や対処方法をご紹介していきますので、参考にしてみてください。
1.センター摩耗
タイヤのトレッドのショルダー部分よりも中心部が先に摩耗する現象です。センター部分の溝が薄くなっていたら要注意です。
主な原因
空気圧が高すぎると、タイヤが丸くなって中心部分の接地圧が大きくなるため、発生しやすくなります。
また、荷重がタイヤに垂直にかかるため、駆動力の高い車輌の駆動軸で起きやすいとも言えます。(特にタイヤへの負担が大きいリア駆動の車に多く発生します)
対処方法
- 空気圧を適正に調整する
- ローテーションを行う
※車種によっては、前後のタイヤサイズが異なったり、回転方向指定のタイヤを履いていたりすると、左右や前後のローテーションができないこともあります。
2.両肩摩耗
タイヤのトレッドの中心部よりも、両肩(ショルダー部)が早く摩耗する現象です。
主な原因
空気圧が不足していると、ショルダー部の接地圧の方が高まるため、両方摩耗が起きやすくなります。
また、過荷重の時にも多く見られます。
フロントタイヤに装着した時は、トーイン、キャンバーの影響によって発生することもあります。
対処方法
- 空気圧を適正に調整する
- 過積載をしない
3.肩落ち摩耗
トレッドの片側だけが早く摩耗する現象です。片側のブロックだけ無くなってしまうため、溝を境に段ができてしまいます。
主な原因
足回りの整備不良などが原因で発生します。
頻繁に路面の傾斜部分を走行することにより発生する場合もあります。
対処方法
アライメントの調整が必要です。ローダウンや事故によって足回りのバランスが変わった時は、慎重に調整する必要があります。
4.スポット摩耗
タイヤのトレッド部が局部的に摩耗する現象です。
一部分のみ摩耗している状態であるため、そのまま走行を続けるとゴトゴトとした不快な乗り味になります。
主な原因
急ブレーキや急発進など、タイヤの一部に負荷がかかるような運転をすると、発生しやすくなります。
タイヤや足回りの回転機構のバランス不良によっても発生します。
対処方法
- 急ブレーキや急発進をしない
- タイヤのバランス調整をする
※上記以外の対応で治らない時は足回りを点検・修理する必要があります。
5.ヒール&トゥ摩耗
タイヤが円周方向にのこぎりの歯のように斜めに摩耗する現象です。ブロックが多いタイヤは、より顕著に現れます。
また、FF車に装着しているタイヤだと発進とブレーキ時、の両方でフロントタイヤに負担がかかっているため、よく見られます。
主な原因
制動力・駆動力をかける頻度が多いと発生しやすくなります。
ローテーション不足や空気圧不足によっても発生します。
対処方法
- 空気圧を適正に調整する
- ローテーションを適度に行う
6.多角形摩耗
タイヤが多角形に摩耗する現象です。主にショルダー部のみに顕著に発生します。
主な原因
タイヤ、ホイールの偏心や曲がりによって発生します。
空気圧不足や足回りの整備不良によっても発生します。
対処方法
- タイヤ・ホイールバランスの再調整
- 空気圧を適正に調整する
※上記以外の対応で治らない時は足回りを点検・修理する必要があります。
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7.フェザーエッジ摩耗
タイヤの片側やリブの片側のみが摩耗し、リブやサイドのエッジが羽状に捲れるようにして摩耗する現象です。
走行中わずかにタイヤが横滑りをしているため、片側が捲れるように摩耗します。
主な原因
キャンバーやトーイン不良などの足回りの整備不良によって発生します。
無理な速度で頻繁に急旋回をした場合も発生します。
対処方法
タイヤに負担がかからないような速度でカーブを曲がる必要があります。
それでも症状が治らない時は、足回りを点検・修理する必要があります。
タイヤの偏摩耗を防ぐには
これまで種類別に偏摩耗の対処方法も合わせてご紹介しましたが、あらためて偏摩耗を防ぐ方法をまとめると、次の3つになります。
- 空気圧を適正にする
- 5,000kmごとにローテーションをする
- タイヤに負担がかからない運転をする
1.空気圧を適正にする
空気圧はタイヤの形を保つ非常に重要なものです。
もし空気圧が減っていると、摩擦が大きくなり、必要以上に摩耗が進むことがありますし、設置部分の両端が偏摩耗を起こす可能性もあります。
反対に、高すぎるとトレッドが丸まってしまい、中央部分の摩耗が早く進んでしまうこともあります。
また、指定空気圧は装着する車の性能を最も発揮できる数値でもあります。
そのため、空気圧は常に適正値の範囲に収まるように管理しなければいけません。
タイヤの空気圧は自然に減っていくため、できれば1ヶ月に1度の点検をおすすめします。
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5,000kmごとにローテーションをする
タイヤ駆動輪や重量配分などの影響を受けるため、必ずしも4本が均等に減ることはありません。
そのためタイヤを長持ちさせようとすると、定期的にタイヤの位置変更を行う必要が出てきます。
この位置変更を「ローテーション」と言います。
ちなみに国内最大手のタイヤメーカーブリヂストンでは、5,000kmごとのローテーションを推奨しています。
ただし、タイヤのローテーションは、闇雲にタイヤを入れ替えれば良いというわけではありません。
タイヤの回転方向や駆動輪を考慮して適切に行う必要があります。
また、最近のタイヤは「回転方向指示」や「イン・アウト指示」があるものが増えてきたため、装着時は特に気を付けなければいけません。
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それ以外にも、タイヤを取り外した時は、状態を隅々までチェックできる絶好の機会とも言えるでしょう。
そのため、できればタイヤのローテーションは、プロに任せてしまうことをおすすめします。
タイヤに負担がかからない運転をする
タイヤに負担がかかりにくい運転を心掛けるだけで、偏摩耗の進行を大きく抑えることができます。
例えばコーナリング時の急ハンドルを止めるだけでもタイヤへの負荷を減らせますし、急ブレーキや急発進を止めれば部分的な摩耗も抑えられます。
また、タイヤに負担のかからない運転は車体や足回りにも優しい運転とも言えますので、お車の寿命を伸ばすことにも繋がります。
まとめ:タイヤの偏摩耗は定期的な点検とローテーションで防ぎましょう
偏摩耗はタイヤや車の状態、走り方など様々な原因によって起こります。
一言で偏摩耗と言っても、部位や形状によって様々な種類があり、発生原因もバラバラ。今回ご紹介した偏摩耗は代表的なものに絞ってご紹介しております。
そのため、もし普段と違う減り方をしていると感じたら、なるべく早めにお近くのタイヤショップへご相談ください。
偏摩耗の予防には、月1回の空気圧チェックと、5,000km程度でのローテーションをおすすめします。
もちろん当店相広タイヤ商会 タイヤガーデン川越でも、空気圧のチェックやローテーションを実施いたしております。
その際はタイヤの摩耗状態の点検も行わせていただきますので、安心してお任せください。
また、タイヤに関してのご質問にも丁寧にお答えさせていただきます。
タイヤのことなら、ぜひ当店へお気軽にお問い合わせください!
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