今回は人気の高いSUVや4WD(四駆)向けのスタッドレスタイヤを各メーカーで比較します。
SUVとはスポーツユーティリティビークルを意味しており「スポーツ用多目的車」と訳すことができます。
必ずしも四駆であるというわけではないですが、サーフィンやスノーボードといったスポーツやキャンプなど、あらゆるシーンで力強く使うことができる車を指します。
最近では都市型のSUVも増えてきているのでますます用途は様々といったところでしょう。
国内メーカーではランドクルーザー、プラド、FJクルーザー、ハリアー、CH-R、RX、NX、LX、ヴェゼル、CR-V、エクストレイル、ムラーノ、ジューク、CX-5、フォレスター、XV、アウトバック、パジェロなどが人気ですね。
今回比較するタイヤは下記です。
BRIDGESTONE ブリヂストン
BLIZZAK DM-V2 ブリザック ディーエムブイツー
YOKOHAMA ヨコハマタイヤ
iceGUARD SUV アイスガード エスユーヴィ
GEOLANDAR I/T-S ジオランダーアイティーエス
DUNLOP ダンロップ
WINTER MAXX SJ8 ウィンターマックス エスジェイエイト
GOODYEAR グッドイヤー
ICE NAVI SUV アイスナビ エスユーブイ
TOYO TIRES トーヨータイヤ
OBSERVE GSi-5 オブザーブ ジーエスアイファイブ
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もくじ
SUVや4WDのスタッドレスタイヤを比較する際のポイント
まずは車の特性を考えてみましょう。
SUVや4WDは比較的に車体が大きく、車重が重くできていること多い車です。
タイヤはその重い車体を4本で支えるため、乗り心地にダイレクトに影響する重要な部品だといえます。
また、乗用車と比べ車高が高く(四駆車では特に)走破性が高い車であると言えます。
雪道などでスタックする(タイヤが空回りして進めない)ことは少ないでしょう。
燃費の面では悪くなりがちなSUVや4WDの車です。
装着するタイヤで燃費は変わりますので、その点も注目すべきでしょう。
これらをふまえ、スタッドレスタイヤでは下記を重視すると良いと考えます。
- 思い車重でもしっかり止まれる(氷上性能)
- 長い間使える(タイヤの寿命)
- 乗り心地(快適性)
- 燃費(低燃費性能)
- 価格(コストパフォーマンス)
これらの中からスタッドレスタイヤに何を求めるかを考えながら選ぶとよいでしょう。
ブリヂストン
BLIZZAK DM-V2 ブリザック ディーエムブイツー
2014年発売のブリヂストンのスタッドレスタイヤです。
ブリザックといえばスタッドレスタイヤでは人気のブランドですね。
特に北海道・北東北の主要5都市での装着率が15年連続でNO.1という実績は非常に説得力があります。
このタイヤはブリヂストンの乗用車向けスタッドレスタイヤBLIZZAK VRXと同じ「アクティブ発泡ゴム」というゴムを利用しています。
このゴムは中に小さな気泡を含んでおり、氷の表面の水分を吸収することで滑らないようにするというものです。
いわゆる「吸水系」と言われるタイプのゴムですね。
乗用車向けのVRXと同様、氷上・雪上での制動性能については非常に高いタイヤです。
前モデルのDM-V1(ディーエムブイワン)とくらべても氷上でのブレーキ制動距離は11%の短縮に成功しています。
また、スタッドレスタイヤの新品時は性能を発揮するまでに慣らし走行が100kmほど必要と言われていますが、このDM-V2は装着初期から氷上性能を発揮するための工夫が表面に施されているという点もポイントが高いですね。
ヨコハマタイヤ
iceGUARD SUV アイスガード エスユーヴィ
2016年発売のヨコハマタイヤのSUV向けスタッドレスタイヤです。
今回比較するスタッドレスタイヤでは一番新しいモデルです。
開発で主眼に置いた性能はズバリ「氷上性能」です。
ヨコハマタイヤの乗用車向けスタッドレスタイヤであるアイスガードシリーズでも採用されているゴムと接地面の形状を用いることで氷上制動性能を従来品(「GEOLANDAR I/T-S」)に比べ23%向上させています。
この氷上性能を含めてアイスガードは「氷に利く」「永く利く」「燃費に利く」という3つのコンセプトを掲げています。
「永く利く」という面ではゴムの硬化を防ぐ素材を活用することでタイヤにとって天敵の経年劣化を防ぎ4年後も高レベルのグリップが持続するとしています。
また、「燃費に利く」では転がり抵抗を前モデルよりも5%減らすことに成功させました。
さらにパターンノイズを28%低減したことで静粛性能が向上し乗り心地も格段にアップしています。
各性能のバランスが良く近年人気が高まっている都市型のSUV(街乗りや高速走行をメインの用途に想定している車)に対応した、新しいタイプのSUV向けスタッドレスタイヤと言えます。
ヨコハマタイヤ
GEOLANDAR I/T-S ジオランダーアイティーエス
2009年発売のヨコハマタイヤのスタッドレスタイヤです。
上記の新しいモデル「アイスガードSUV」が発売されていますが、まだまだサイズによっては現行商品としての取り扱いとなります。
「ジオランダー」はヨコハマタイヤのSUV・四駆向けタイヤブランドとして、夏タイヤとスタッドレスタイヤ共に人気のあるブランドです。
特に夏タイヤはオフロードでの走破性が高いことで有名ですね。
このGEOLANDAR I/T-Sは同社の乗用車向けスタッドレスタイヤであるアイスガードトリプルプラス(iG30)と同じゴム(「トリプル吸水ゴム」)を利用しています。
これもブリヂストンと同様に「吸水系」に分類されるゴムで氷上の水分を吸水しゴムを密着させることで制動性能を高めています。
また、タイヤのゴムが固くなりづらいように素材の工夫がなされていて、スタッドレスタイヤとして使える期間を長く保つことができます。
燃費性能についてもひとつ前のモデルであるGEOLANDAR I/T(ジオランダーアイティー)と比べ5%向上しています。
ダンロップ
WINTER MAXX SJ8 ウィンターマックス エスジェイエイト
2013年発売のダンロップのスタッドレスタイヤです。
乗用車用のスタッドレスタイヤであるWINTER MAXXと同様のテクノロジーを採用しています。
ゴムは「ナノフィットゴム」という凍結した路面にピッタリ密着する柔らかいを使っています。
こちらは「密着系」と言われるタイプのゴムです。
ゴムが路面に密着することに加え、細かいサイプの入った接地面で路面をひっかくことで制動性能を高めています。
これによりひとつ前のモデルのGRANDTREK SJ7(グラントレック エスジェイセブン)と比べ11%氷上ブレーキ性能が向上しています。
更に、ゴム自体に摩耗しづらい設計がほどこされ、ライフ性能が長いというのもこちらのタイヤの特徴です。
また、このWINTER MAXX SJ8はSUV独特の「ふらつき」に対応しており、高速走行時の操縦安定性を重視した作りになっています。
乗り心地の面で他の商品と比べ差が出そうですね。
グッドイヤー
ICE NAVI SUV アイスナビ エスユーブイ
2014年発売のグッドイヤーのスタッドレスタイヤです。
「アクアフィラー for SUV」というSUV専用の密着系ゴムにより氷上性能をWRANGLER IP/N(ラングラー アイピー/エヌ)と比べ22%アップさせています。
また、乾いた路面での操縦安定性に着目しているのが特徴的で雪道や氷上での走破性とドライ路面での快適性を両立したタイヤだと言えます。
認知度の高いグッドイヤーブランドでありながら実勢価格が割安なことが多いのもうれしい点です。
トーヨータイヤ
OBSERVE GSi-5 オブザーブ ジーエスアイファイブ
2013年発売のトーヨータイヤのスタッドレスタイヤです。
CCV/SUV専用に設計しつつアイス・スノー・シャーベットそれぞれの路面でしっかり制動するという点が特徴です。
ゴムは「NEO吸水クルミックスゴム」といい、鬼クルミの殻がゴムに混ぜ込まれている「異物混入系」のスタッドレスタイヤです。
クルミの殻が直接氷上に食い込みひっかくことでグリップ力を発揮します。
その他吸水効果のある素材も含まれているため、吸水しつつ路面に密着して、ひっかくことで制動するタイヤと言えます。
タイヤ全体の作りとしては剛性が高く作られており不可の大きなSUVや四駆の車でも安定した走りをもたらしてくれます。
比較表でみるSUV・4WD向けスタッドレスタイヤ
ここまでの内容を比較表にまとめてみました。
ある程度私の主観が入っていることをご了承ください。
ブリヂストン BLIZZAK DM-V2 | ヨコハマタイヤ iceGUARD SUV | ヨコハマタイヤ GEOLANDAR I/T-S | ダンロップ WINTER MAXX SJ8 | グッドイヤー ICE NAVI SUV | トーヨータイヤ OBSERVE GSi-5 | |
---|---|---|---|---|---|---|
発売日 | 2014年 | 2016年 | 2009年 | 2013年 | 2014年 | 2013年 |
タイヤ素材 | 吸水系 | 吸水系 | 吸水系 | 密着系 | 密着系 | 異物混入系 |
氷上性能 | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ |
雪上性能 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ |
特徴 | 北国でNo.1 新品時から性能を発揮 | 永く利く・燃費に利く 静粛性◎ | ロングセラーの信頼 タフなジオランダー | 摩耗しづらい 高速走行時の操縦安定性○ | 乾いた路面でも快適 | 高剛性で走行安定性○ |
市場価格順位 (高い順) | 1 | 2 | (サイズによる) | 3 | 5 | 4 |
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店員としてのおすすめとまとめ
SUV向けのスタッドレスタイヤといってもそれぞれで結構違いが出るものですね。
特徴をとらえて選ぶと選びやすいでしょう。
私が選ぶのであれば、第一候補は新商品のアイスガードSUVです。
性能のバランスが良く完成度が高いスタッドレスタイヤだと思います。
ジオランダー I/T-Sでは物足りなかった性能もまんべんなくカバーしてくれている印象です。
続いて予算が許すならBLIZZAK DM-V2でしょうか。
BLIZZAK ブランドはやはり氷上性能では非常に安心感があります。
真冬にスノーボードをしに雪山にいくなど厳しい路面を走行する時にも心強く感じると思います。
走行安定性をとるならWINTER MAXX SJ8かOBSERVE GSi-5のいずれかです。
WINTER MAXX SJ8の方は摩耗をしづらいという性能があるので、その面で考えると軍配があがりそうです。
コストを抑えたいのであればICE NAVI SUVですね。
さほど寒さの厳しい地域に行かない、車に乗る機会が多くない、という方にはぴったりかと思います。
販売店により価格が異なるので一概には言えませんが、グッドイヤーという有名ブランドのスタッドレスタイヤで性能も申し分ないので、満足のいく買い物になると思います。
いかがでしたでしょうか。
SUV・4WD向けのスタッドレスタイヤ選び選びの参考になれば幸いです。