冬頃になるとスタッドレスタイヤとチェーン、どちらを使ったほうが良いですか?と聞かれることが多々あります。
それぞれに短所・長所があるので一概には答えられませんが、今回は違いを中心に詳しく記事にしてみたいと思います。
まずは一覧の比較表で見てみましょう
細かく説明してしまうとわかりづらいのでまずは比較表をみてみてください。
スタッドレス | 金属チェーン | 非金属チェーン (ゴム・樹脂など) | |
---|---|---|---|
価格 | ✕ | ◎ | ◯ |
装着本数 | 4本 | 2本 (駆動輪) | 2本 (駆動輪) |
利便性 | 一度つければそのまま走行 | 脱着難しい こまめに脱着 | 脱着簡単 こまめに脱着 |
耐久性 | ◯ | △ | △ |
氷上性能 | ◯ | ◎ | ◎ |
新雪性能 | ◯ | ◎ | ◎ |
圧雪性能 | ◎ | ◯ | ◯ |
雪山(坂)道 | ◯ | △ | △ |
乾燥路 | ◎ | ✕ | △ |
走行速度 | 100km/hオーバー可 | 20~50km/hくらいまで | 40~70km/hくらいまで |
乗り心地 | ◎ | ✕ | ✕ |
走行音 | ◯ | ✕ | △ |
チェーン規制 | ◯ (ほぼ可) | ◎ | ◎ |
保管場所 | ✕ | ◎ | ◎ |
※画面の幅が狭い場合は横にスクロールできます
チェーンには金属チェーンと非金属チェーンがあります
金属チェーンとは
鉄などの金属で作られているチェーンです。
昔からあるタイプのチェーンですね。
安価で場所も取らない反面、乾いたアスファルトを高速走行すると切れやすく、装着も面倒です。
また、車体やホイールに干渉すると傷をつけてしまうことがあります。
非金属チェーンとは
金属チェーンとは違いゴムやウレタン樹脂などでできているチェーンです。
最近では乗用車はこちらのタイプを装着している車が多いですね。
金属チェーンよりは高いですがスタッドレスタイヤよりは安く購入できます。
また、ある程度スピードを出して走行もできます。
ただしアイスバーンなどでの走行はちょっと心もとない印象です。
スタッドレスタイヤとは
スタッドレスタイヤは冬用タイヤとも呼ばれる、雪道や氷の上でもしっかりと走行できるように作られているタイヤの事です。
ノーマルタイヤ(夏タイヤ)と比べて寒くなってもゴムが固くなりにくく、細かな溝があって氷に食い込みやすいなど作りが異なっています。
チェーンと比べると高価ですが、その分優れている点も多くあります。
チェーンとスタッドレスタイヤの違い
チェーンとスタッドレスタイヤはそもそも全く別のものだと考えてよいかと思います。
それは上の一覧表を見ても明らかですが、性能だけでなく用途などで比べてもその差は大きいと言えるでしょう。
価格
価格で比べるとスタッドレスタイヤの方がチェーンと比べても高価です。
チェーンは金属チェーンが最も安く、非金属チェーンはそれよりも多少高くなります。
装着本数
スタッドレスタイヤは基本として4輪全てに装着します。
それに対してチェーンは車の駆動輪2本のみの装着となります。
FFならば前輪、FRならば後輪に付けます。
利便性
スタッドレスタイヤは一度装着してしまえば、雪道でも氷道でも乾燥路でもそのまま走行できます。
対してチェーンは基本的には雪や氷の無い乾燥路面には向いていません。
そのため雪が多く降らない地域ならばこまめな脱着が必要です。
脱着方法では金属チェーンの方が非金属チェーンよりも比較的簡単にできます。
耐久性
チェーンは上記のように乾燥路には向いておらず、急制動などでダメージがあると切れてしまうこともあります。
比較的ゴムや樹脂などの非金属チェーンは切れにくいですが、どちらのチェーンにも言えることです。
スタッドレスタイヤは走行距離にもよりますが、基本的には摩耗が少なければ3~4年程度は使うことが出来ます。
※いずれも保存方法や使用方法にもよるので一概には言えません
氷上性能
ガチガチに固まったアイスバーンではまだやはりチェーンのほうがスタッドレスタイヤと比べても軍配があがります。
ただしここ近年のスタッドレスタイヤの進化は目覚ましいものがあり、よほどのことがない限りはスタッドレスタイヤでも十分といえます。
新雪性能
ふかふかの新雪ではスタッドレスタイヤはスタックしてタイヤが空転してしまうことがあります。
四駆の車ではあまり心配ありませんが、二駆の車では多少心配がありますね。
チェーンは新雪の上でも深く食い込むようになるのでスタッドレスタイヤと比べても走破性が高いといえます。
圧雪性能
踏み固められた雪の上ではスタッドレスタイヤは驚くほどよく止まります。
このあたりはチェーンと比べても遜色ないかむしろスムーズに走れる分優れているともいえます。
雪山(坂)道
雪山の坂道は4本装着しているスタッドレスタイヤの方が登りも下りも安定して走ります。
駆動輪のみ装着のチェーンでは登りも下りも装着していない2本がスリップしやすくなりバランスを取るのが難しくなります。
走行速度
スタッドレスタイヤは100km/hオーバーでの走行が可能です。
乾いた路面の高速道路を走るのであればスタッドレスタイヤの方が良いといえるでしょう。
反面チェーンは装着すると速度が大きく制限されます。
スピードを出すと切れてしまうこともあるので注意が必要です。
乗り心地
乗り心地では大きな差がつきます。
チェーンは構造上どうしてもガタガタと音もうるさくなりますし、乗り心地も悪くなってしまいます。
走行音
走行音はスタッドレスタイヤが一番静かだといえます。
ノーマルタイヤ(夏タイヤ)と比べてしまえば音は大きくなりますが、チェーンよりも圧倒的に静かです。
チェーン規制
高速道路などにおいてチェーン規制となっている場所ではスタッドレスタイヤはほとんどの場合走行可能です。
しかしながら、雪の状況によってはチェーン装着車のみしか通行できない規制もあります。
保管場所
保管するには金属チェーンが一番小さくなるので便利です。
スタッドレスタイヤは四本保管しようとするとそれなりのスペースを取るので、場所がなければタイヤ専門店などの保管サービスを利用すると良いでしょう。
それぞれのメリット・デメリットをふまえた上での選択を
チェーンとスタッドレスタイヤには様々な違いがあることをお伝えいたしました。
ご自身のお車の使用用途や、地域の雪の降り方などを踏まえて検討してみてください。
私は埼玉県に住んでおり、冬場はいつもスタッドレスタイヤを利用しています。
新潟や長野にスノーボードをしに行くことも多々ありますが、スタッドレスタイヤだけあれば十分事足りています。
高速道路を走ることを考えるとやはりスタッドレスタイヤが一番利便性が高いように思います。
チェーンは緊急用として持ってはいますが、車に積んでいないことのほうが多いです。
雪深い地域ではチェーンが必須ということもよく聞きます。
チェーンかスタッドレスタイヤかは地域によってもかなり差がでる選択のようです。