ホイールカスタムの中で最も人気なのがアルミホイールの装着。
調べていると”鍛造(たんぞう)”や”鋳造(ちゅうぞう)”という言葉を目にすることもあるのではないでしょうか。
この違いは一体どのようなものなのでしょうか。
そこで本記事では、アルミホイールの”鍛造(たんぞう)”や”鋳造(ちゅうぞう)”の違いや見分け方、どちらが良いのかなどについてご紹介します。
もくじ
鍛造(たんぞう)ホイールとは
鍛造(たんぞう)ホイールは、金型に流し込んだアルミ合金を時間をかけて圧縮したり叩いたりして成形するホイールです。
鍛造は古くから伝わっている加工技術で、叩けば叩くほど優れた機械的性質(引張強度、耐力、伸び)を持つ金属の特徴を利用した加工技術です。
テレビでしばしば目にする、鍛冶屋さんが熱した金属を叩いているシーンをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。
鍛造ホイールは、ホイールをかたどった金型にアルミニウム合金ビレット(円筒状の材料)をセットし、数千トンもの高い圧力をかけて押し潰して成形します。
鍛造自体は非常に高度な加工技術であるため、現在国内で鍛造のアルミホイールが製造できるメーカーはBBS、RAYS、鍛栄舎(TWS)の3社しかありません。
ちなみに現在F1で使用されているホイールは、BBSが国内工場で製造している鍛造ホイールです。
メリット
- 強度が高い
- 軽量である
鍛造ホイールは剛性が高く、車の運動性能を効率良く路面に伝えることができるため、レーシングカーのような高パフォーマンスの車への装着に向いています。
また、強度がある分、薄くすることができるため、鋳造ホイールよりも軽量にできます。
デメリット
- 製造コストが高い
- デザイン性に乏しい
鍛造ホイールの成形は大型のプレス機械などの設備が必要で、時間もかかります。
そのため、鋳造と比べるとはるかに大きなコストがかかります。
また、圧縮や打撃によって成形するため鋳造ホイールのように複雑な形状に対応できず、デザインは劣りがちです。
最近は成形した後に切削機で削り作業を行うことで、ある程度デザイン性を高めることができるようになりました。
しかしその分加工コストがかかるため、高価なホイールになります。
鋳造(ちゅうぞう)ホイールとは
鋳造(ちゅうぞう)ホイールは、ホイールの形状をした型(=鋳型)に液体のアルミを入れて成形するホイールです。
アルミニウムは型に流し込む前に660℃以上(融点)の高温に熱し、流体になったアルミニウムを型の中の細部にまで行き渡らせてから冷却します。
そして型を割って取り出すと、精密で複雑な形状をしたホイールが完成します。
鋳造も古くから用いられている加工技術で、型さえ作ってしまえば複雑な形状のものが大量に作れます。
金属部品以外にも、樹脂やプラスチック製品なども同様の方法で成形できるため、様々な生産現場で用いられています。
メリット
- コストを抑えられる
- デザインが豊富にある
鋳造ホイールは型さえ作ってしまえば大量生産が可能で、鍛造ホイールよりもはるかに低コストです。
また、デザインの自由度も高くオリジナルのデザインが作りやすいため、様々なホイールメーカーが採用しています。
デメリット
- 強度が低い(鍛造と比較して)
- 軽量化が難しい
鋳造は叩き上げて成形する鍛造と比べると、どうしても強度が劣ります。
もし強度を増そうとすると、その分厚くしなければいけませんので、今度は重さの問題が出てきます。
最近では独自の製造方法(フローフォーミング、MAT製法など)を採用するメーカーが増えてきており、鍛造ホイールのような強度や軽さを持たせることが可能になりました。
ただしその分加工コストがかかるため、純粋な鋳造ホイールと比べると価格は高くなりがちです。
鋳造ホイールと鍛造ホイールの見分け方
鍛造や鋳造は成形方法の違いですので、ぱっと見比べただけでは見分けがつき辛いかもしれません。
そこでここでは、鍛造と鋳造ホイールの見分け方についてご紹介していきます。
刻印が凸か凹かで見分ける
- 鍛造(たんぞう)・・・文字が彫られている(凹んでいる)
- 鋳造(ちゅうぞう)・・・文字が浮き出ている
鍛造ホイールはアルミを叩いて成形するため、凸形状を作るのが非常に難しいとされています。そのため基本的に刻印は凹む方向になります。
対して鋳造ホイールは型に液体のアルミを流し込むため、自由に凹凸を付けることができます。
「FORGED」「CAST」の表記で見分ける
ホイールのどこかに、以下のような表記がある場合もあります。
- 鍛造(たんぞう)・・・FORGED
- 鋳造(ちゅうぞう)・・・CAST
鍛造ホイールは英語で「Forged Wheel(フォージド・ホイール)」と呼ぶため「FORGED」と表記されます。
対して鋳造ホイールは英語で「Casting Wheel(キャスティング・ホイール)」と呼ぶため「CAST」となります。
表面加工されていない部分で見分ける
上記の見分け方は全てのホイールに当てはまるとは言い切れません。
ホイールの種類によっては表記自体がされていないこともあります。
その場合は、ホイール裏面の表面処理をしていない部分を見て判断します。
- 鍛造(たんぞう)・・・つるつるしている
- 鋳造(ちゅうぞう)・・・ざらつきがある
鍛造ホイールは金属を叩いて加工するため、表面加工されていない部分にも、ある程度の光沢が見受けられます。
対して鋳造ホイールは砂型を用いて成形しているため、表面加工されていない部分は砂のざらつき跡が残ります。
鍛造と鋳造はどちらが良いのか
先ほどメリット・デメリットでご紹介したように、鍛造ホイールと鋳造ホイールには一長一短があるため、どちらが良いとは言い切れません。
それぞれのホイールの特徴をまとめました。ご自身がどのような性能を重視しているのかを把握した上で参考にしてみてください。
鍛造(たんぞう) | 鋳造(ちゅうぞう) | |
強度 | ◯ | △ |
重量 | ◯ | △ |
デザイン性 | △ | ◯ |
燃費 | ◯ | △ |
値段 | △ | ◯ |
ただし、こちらの表はあくまで鋳造と鍛造ホイールの性能の比較となり、劣っているからと言って、決して性能が低いわけではありません。
例えばサーキットでのスポーツ性能を追求したいとお考えの場合、性能面だけで言えば軽くて丈夫な鍛造ホイールをおすすめしますが、価格も含めて考え直すと、鋳造ホイールの方がベストな選択となることもあります。
ホイールの購入を検討している方は、実際に販売店にご自身の要望を伝えた上で、様々な観点から検討するようにしましょう。
アルミホイールのその他の製造方法
鍛造や鋳造以外にも、以下のような製造方法を聞いたことがあるかもしれません。
- 削り出し
- フローフォーミング(MAT製法)
これらの製造方法はどのようなものなのかも見ていきましょう。
削り出し
削り出しは、アルミ合金のインゴット(塊)の状態から切削加工機を使って形を成形していく加工方法です。
削り出しホイールの成形には多くの工数がかかるため高価になりがちですが、芸術品のような精密な仕上がりにすることができます。
最近では、鍛造や鋳造で成形されたホイールの仕上げ加工に削り出しが用いられることも増えてきました。
フローフォーミング(MAT製法)
鋳造で成形したホイールのリム部分をスピニングマシンで圧延(高い圧力で押し付けて延ばす)する加工方法です。
高い圧力を加えると強度が増す金属の性質を利用した加工方法で、鍛造以上の強度を持ちながらも薄いリムが成形できます。
部分的に鍛造技術を取り入れていることになるため、鍛造ホイールよりも安価で作れることが多く、コスト的なメリットも大きいと言えるでしょう。
また、フローフォーミングは「MAT製法」としても名前が広まっています。
フローフォーミング自体は、もともとホイールメーカーのエンケイが先駆けて取り入れた技術でした。
導入当時は独自の呼称「MAT PROCESS(MAT製法)」として呼んでいたため、「MAT製法」という呼び名が世に広まりました。
現在もフローフォーミング技術は各ホイールメーカーが取り入れており、様々な呼び名が付けられています。
- ウェッズ・・・AMF(アドバンスド・メタル・フォーミング)
- ワーク・・・WFT(ワーク・フローフォーミング・テクノロジー)
- レイズ・・・RCF(レイズキャストフォーミング)
- エンケイ・・・MAT(MAT PROCESS、MAT-DURA FLOW FORMING)
アルミホイールの構造
アルミホイールの構造にも様々な種類がありますので、あわせてご紹介していきます。
基本的にアルミホイールの構造は次の3種類に分けられます。
- 1ピース
- 2ピース
- 3ピース
1ピース
1ピースは、リム部分とディスク部分が一体となった構造です。
一体構造であるため強度が高く軽量で、レーシングカーやスポーツカーなど高次元の走りをするお車の装着に適しています。
また、ほかの構造と比べるとリム幅を出しにくいものの、低コストで精度が高いものが作れます。
2ピース
リム部分とディスク部分を別々に製造し、ボルト留めもしくは溶接で固定されたものが2ピース構造です。
ボルトで結合しているため、1ピース構造より剛性が弱く重くなりますが、リムとディスクを別々に製造できるため、加工しやすいメリットがあります。
また、インセットの設定の自由度が高いため、深リムを作れたり、こだわった形状のディスクが作れたりと、デザインの自由度はかなり高めです。
3ピース
ディスク部分と2つのリム(アウター・インナー)をボルト留めで固定したものが3ピース構造です。
2ピース構造よりもさらにデザインを細かくでき、極端な深リムにも対応できる特徴を持ちます。
ただし、3ピース構造は複雑で製造コストがかかるため、日本では限られたメーカーでしか販売されておらず、高級ホイールとして扱われています。
「鍛造」「鋳造」のアルミホイール選びはコストと性能のバランスが大切です
鍛造・鋳造ホイールのそれぞれの特徴や、メリット・デメリットをご紹介しました。
両ホイールとも一長一短があるため、どちらが良いのか一概には言い切れません。
性能面だけで言うと鍛造ホイールに分があるようにも見えますが、トータルコストを考えると鋳造ホイールの方が優れていることもございます。
また、お好みのデザインなのかどうかや、深リムにできるかなども重要な判断材料となる場合もございます。
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